機械部品加工・製造の⽣産性を上げる⾃動希釈装置ガイド
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離型剤・薬剤における希釈・希釈装置とは

ダイカスト製造においては離型剤が使用されていますが、この離型剤を適切に希釈して使用することが製品の品質や効率に大きく影響してきます。この記事では、離型剤や薬剤の希釈の重要性と希釈装置について解説します。装置の概要や主な部品、希釈装置を導入した際に期待できるメリットなどについてまとめています。

目次

離型剤・薬剤の希釈について

離型剤とは溶融金属と金型の間に薄い皮膜を形成することで、製品を取り出しやすくする目的で使用されるものです。その効果を最大限に引き出すために、離型剤を適切な濃度に希釈することが求められます。適切な希釈は品質の向上につながりますが、不適切な希釈はさまざまな問題の発生につながる可能性があります。

例えば離型剤の希釈倍率が低い場合には、製品への着色や湯廻り不良が発生する可能性があります。離型剤が付着しすぎて金型に堆積してしまい、環境問題につながる可能性も考えられます。逆に希釈倍率が高い場合には、製品の型離れが悪くなり、焼付き・カジリが発生する可能性もあります。また、負荷をかけて型から取り出すことになるので、製品が歪む場合もあります。

ダイカスト製品の品質向上・生産効率を最適化するためには、適切な希釈と管理が必要です。

希釈装置の概要

希釈装置は、離型剤の原液と水などを混合することによって適切な濃度に希釈し、ダイカストマシンへ供給する役割を持っています。

この時に使用される希釈装置にはさまざまな種類があり、例えば離型剤を希望の倍率で水と希釈してスプレー装置に圧送供給する自動希釈圧送装置があります。そのほか、近年では原液希釈にファインバブル水を活用する希釈装置も開発されています。この製品は、離型剤には油分が多く含まれ、希釈後は腐敗しやすく悪臭を発生します。希釈水にファインバブル水を使用することで悪臭を大幅に抑制する効果があります。

希釈装置の構造と動作

離型剤希釈装置の主要部品には、「ミキシングタンク」や「ストックタンク」などがあります。ミキシングタンクでは、水と離型剤を混合し適切な濃度に希釈します。ここで希釈された離型剤は希釈された液体を保管するための部品であるストックタンクに送られます。その後このストックタンクから、工場内のホースを経由してダイカストマシンに供給を行い、使用されます。

希釈装置導入のメリット

希釈装置を導入した場合にはいくつかのメリットが期待できます。例えば、適切な希釈率を維持できるため製品の品質安定が期待できます。適切な希釈率を維持することで離型ムラや離型不良を低減でき、コスト削減につながります。また、離型剤を過剰に塗布することがなくなり、産業廃棄物処理コストの低減が期待できます。

さらに、離型剤・薬剤は環境に与える影響についての指摘されていますが、希釈装置を使用することで無駄な使用を防止でき、環境負荷の軽減にもつながることが期待できます

導入時の注意点

希釈装置を導入する際には、ニーズに合った装置の選択を行う必要があります。例えば、生産規模と容量の適合度や、希釈倍率の調整範囲などについて、要望に合った希釈装置を選択することが大切です。また装置を適切に使用していくためにも、操作の簡便性やメンテナンス性なども検討しておきましょう。

ニーズに合った希釈装置を導入することが大切

この記事では、ダイカスト製造における離型剤の希釈の重要性や、希釈装置に関する情報についてまとめてきました。ダイカスト製造では、製品の品質や製造の効率において離型剤は非常に重要な資材です。離型剤希釈装置の導入には、製品品質の安定化やコストの削減、環境への配慮などさまざまなメリットが期待できます。導入を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

現場の生産方式別・切削油
(クーラント)

⾃動希釈装置3選

ここでは、生産方式別に切削油(クーラント)を自動供給できる希釈装置を紹介します。自社の生産方式に合わせて適切な装置を導入し、生産性アップ・業務負担の低減・コストダウンを目指しましょう。

連続生産方式
現場には
自動希釈装置
「MAKKY-MINI 65-D」

Makky Mini 65-D(真岐興業株式会社) 引用元:真岐興業株式会社
(https://makky.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈液をエアーポンプで供給する方式を採用。加圧タンク不要で内圧の変動による作業中断の発生なし。長時間の連続稼働でも希釈液を安定供給。
  • 離型剤(原液)の空容器を希釈液のタンク代わりにして利用する仕組み。専用タンクを必要としないため、洗浄や補充による作業中断が無い
  • 生産環境や特殊な作業条件に合わせて機能追加可能。圧送ポンプの自動復帰回路やマシンインターロック、凍結防止ヒーターなど。

公式サイトで
装置の仕様をチェック

受注生産方式
現場には
クーラント自動希釈装置
「MX-600C」

クーラント自動希釈装置(株式会社CEM) 引用元:株式会社CEM
(https://www.kcem.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈率を1.0~20.0%の範囲で精度±0.2%で管理。受注生産方式で求められる製品ごとに異なる濃度に設定できるため、個別の品質基準にも対応可
  • 使用量や濃度設定を記録する機能があるため、受注ごとの履歴管理可。品質管理の問い合わせにも対応しやすく、受注生産の信頼性が高まる。
  • 一つの装置で複数の異なる希釈率を同時に設定・供給可能(オプション機能) 。顧客のニーズや仕様に応じた対応ができる

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ロット生産方式
現場には
クーラント液管理システム
「Will-Fill AIO」

クーラント液管理・自動調整システム(WILL-FILL) 引用元:WILL-FILL
(https://will-fill.com/ja)

特徴
  • クーラント液のレベルや濃度、水圧、ポンプの速度など、12種類のパラメータを同時に測定・管理可。異なる製品ごとに別の条件が必要になるロット生産に適する。
  • クーラントの残量監視と補給機能により、異なるロットでも連続して作業が行われる。手動操作が少なく、生産の流れを途切れさせない。
  • 定期的にクーラント液の状態を整える機能を搭載。液体成分が均一に保つことができ、ロットごとの品質ばらつきを防げる

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