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切削油による手荒れについて

切削油には人体に有害な物質は含まれていません。しかし切削油を使用する現場では、手荒れを起こすことが少なからずあります。なぜ手荒れが起こるのでしょうか?

ここでは、切削油による手荒れの原因を解説した上で、手荒れを防止する方法を紹介します。皮膚を守るために参考にしてください。

切削油による手荒れの原因は?

切削油による手荒れの主な原因は、油分が汗腺を塞ぐことと、アルカリ成分が皮脂を過剰に奪うことです。油分が汗腺に詰まると、汗が体外に出られなくなり、かゆみを引き起こし、角質層を傷つけます。一方、アルカリ成分によって皮脂が失われた皮膚は、細菌や外界の物理的ダメージに対して脆弱です。また、切削油には脱脂作用があるため、皮膚が乾燥して刺激を受けやすくなります。さらに乾燥した皮膚に工業用油や薬品が付着することで炎症を引き起こしてしまいます。これらの要因が複合的に作用し、手荒れや刺激性接触皮膚炎を引き起こすのです。加えて、頻繁な手洗いも手荒れの一因となります。

切削油による人体への影響は?

切削油は、不水溶性切削油と水溶性切削油の2種類に大別されます。一般的に、切削油自体は経口摂取以外では人体に大きな害はありません。しかし、長時間皮膚に付着すると手荒れなどの皮膚炎を引き起こす可能性が高くなります。皮膚が荒れる原因はこれまでに述べた通りですが、ここでは、もう少し詳しく、不水溶性切削油の影響と水溶性切削油の影響をそれぞれ確認していきましょう。それぞれの影響を知っておくことで、有効な対策ができます。

不水溶性切削油の影響

不水溶性切削油は主に皮膚への影響が顕著で、長時間接触すると皮膚炎を引き起こす可能性があります。特に鉱油成分は、皮膚の毛穴や汗腺を塞ぎ、刺激作用と脱脂作用があるため、発疹やひび割れの原因になりがちです。

鉱油の中でも、精製度の悪いものや低粘度のもの(灯油や軽油など)は刺激が強い傾向にあります。一方、脂肪油は一般に鉱油よりも刺激性が少ないです。

EP剤(極圧添加剤)については、多くの場合刺激性が低いものの、一部の芳香族硫黄・塩素化合物には刺激性の強いものがあります。また、塩化油は吸入した場合、肝臓障害を引き起こす可能性があると言われています。

水溶性切削油の影響

水溶性切削油は主にアルカリの作用と脱脂作用が人体に影響を与えます。表皮が膨潤し抵抗性を失って乾燥し、肌荒れやひび割れが発生する可能性があります。特にpHが11以上の高アルカリ性のものは避けるべきで、ソリューション型は脱脂作用が強いため注意が必要です。

また、水溶性切削油の腐敗も問題となります。一般的な微生物はpH9.0以上の環境では増殖が抑制されるため、アルカリ性を保つことが重要です。腐敗した液の使用は避けましょう。バクテリアによる炎症や化膿の原因となる可能性があります。

さらに、水溶性切削油から発生するオイルミストを吸入したり皮膚に付着したりすることで、呼吸器系の疾患や皮膚疾患を引き起こす可能性があります。

切削油の手荒れを防止する方法について

長時間の付着が手荒れの原因になりやすいことから、作業後は石鹸で手をよく洗い、切削油を除去することが重要です。作業前には保護クリームを塗ることで、皮膚を外的刺激から守ることができます。

水溶性切削油を使用する場合は、適切な濃度管理が必要です。濃度が高すぎるとアルカリ作用が強くなり、皮膚へのダメージが増加します。また、可能な限り防錆剤に触れないようにすることも手荒れ防止策として有効です。

手荒れ防止は保護クリームと手洗いがポイント!

切削油には、不水溶性と水溶性の2種類があります。口から入らない限り大きな害はありません。しかし長時間の皮膚接触は、手荒れの原因となります。不水溶性の切削油は、毛穴や汗腺を塞ぐため、刺激と脱脂によって手荒れを起こします。水溶性切削油では、アルカリ作用と脱脂作用が皮膚の抵抗性を低下させることが手荒れの原因です。作業前に保護クリームを塗り、作業後は石鹸による手洗いを実施することで、手荒れのリスクを軽減できます。

現場の生産方式別・切削油
(クーラント)

⾃動希釈装置3選

ここでは、生産方式別に切削油(クーラント)を自動供給できる希釈装置を紹介します。自社の生産方式に合わせて適切な装置を導入し、生産性アップ・業務負担の低減・コストダウンを目指しましょう。

連続生産方式
現場には
自動希釈装置
「MAKKY-MINI 65-D」

Makky Mini 65-D(真岐興業株式会社) 引用元:真岐興業株式会社
(https://makky.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈液をエアーポンプで供給する方式を採用。加圧タンク不要で内圧の変動による作業中断の発生なし。長時間の連続稼働でも希釈液を安定供給。
  • 離型剤(原液)の空容器を希釈液のタンク代わりにして利用する仕組み。専用タンクを必要としないため、洗浄や補充による作業中断が無い
  • 生産環境や特殊な作業条件に合わせて機能追加可能。圧送ポンプの自動復帰回路やマシンインターロック、凍結防止ヒーターなど。

公式サイトで
装置の仕様をチェック

受注生産方式
現場には
クーラント自動希釈装置
「MX-600C」

クーラント自動希釈装置(株式会社CEM) 引用元:株式会社CEM
(https://www.kcem.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈率を1.0~20.0%の範囲で精度±0.2%で管理。受注生産方式で求められる製品ごとに異なる濃度に設定できるため、個別の品質基準にも対応可
  • 使用量や濃度設定を記録する機能があるため、受注ごとの履歴管理可。品質管理の問い合わせにも対応しやすく、受注生産の信頼性が高まる。
  • 一つの装置で複数の異なる希釈率を同時に設定・供給可能(オプション機能) 。顧客のニーズや仕様に応じた対応ができる

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ロット生産方式
現場には
クーラント液管理システム
「Will-Fill AIO」

クーラント液管理・自動調整システム(WILL-FILL) 引用元:WILL-FILL
(https://will-fill.com/ja)

特徴
  • クーラント液のレベルや濃度、水圧、ポンプの速度など、12種類のパラメータを同時に測定・管理可。異なる製品ごとに別の条件が必要になるロット生産に適する。
  • クーラントの残量監視と補給機能により、異なるロットでも連続して作業が行われる。手動操作が少なく、生産の流れを途切れさせない。
  • 定期的にクーラント液の状態を整える機能を搭載。液体成分が均一に保つことができ、ロットごとの品質ばらつきを防げる

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