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腐敗・劣化を防ぎたい

切削油の劣化は加工精度の低下や機械故障の原因となり得ます。本記事では、水溶性切削油の劣化原因を明らかにし、実践的な対策を提供することで、生産性の向上を目指します。

目次

水溶性切削液の劣化について

水溶性切削液は、使用する過程で劣化することがあり、その主な原因は液体内での微生物の活動です。使用が進むにつれて、切削液は不快な臭いを放ち始め、色が変わる(褐色化する)など、外観にも明らかな変化が現れます。これは、液中の微生物が切削液を栄養源として使用し、分解することで低級脂肪酸などの悪臭の原因となる代謝物を生成するためです。

微生物の増殖は、切削液の品質に悪影響を与え、pHの低下や防錆性能の減少を引き起こします。効果的な対策としては液体の濃度を適切に管理しpHを9.0以上に保つことです。このpH値では、多くの微生物の増殖が抑制されます。

さらに、切削液に混入する潤滑油や切り屑もpHを下げ、微生物の栄養源となることで劣化を加速します。特に機械が長期間にわたって使用されない場合、嫌気性菌が繁殖しやすくなり、劣化のリスクが高まるでしょう。長期休暇前には防腐剤を添加し、pHと濃度の調整を行うことが、切削液の保全には重要です。

効果的な対策と
自動希釈装置の導入

ここでは劣化を防ぐための具体的な対策について紹介していきます。

劣化対策

劣化を防ぐための対策は、以下の方法が有効です。

自動希釈装置のメリット

自動希釈装置の導入は、これらの管理作業を自動化し、以下のメリットを提供します。

切削油の劣化管理は、工場運営の効率性と製品品質の両方に直接影響を与えるため、適切な対策と技術の導入が不可欠です。自動希釈装置は、このような課題を解決するための有効な手段となります。

まとめ

切削油の劣化は避けられない問題ですが、適切な管理と対策を行うことで、その影響をできる限り抑えることができます。新液の定期的な補充や撹拌、そして自動希釈装置の導入は、水溶性切削油の劣化を防ぐ上で効果的な手段です。これらの対策を実施することで、製造プロセスの安定性を保ち、最終製品の品質を向上させることができます。

関連リンク

現場の生産方式別・切削油
(クーラント)

⾃動希釈装置3選

ここでは、生産方式別に切削油(クーラント)を自動供給できる希釈装置を紹介します。自社の生産方式に合わせて適切な装置を導入し、生産性アップ・業務負担の低減・コストダウンを目指しましょう。

連続生産方式
現場には
自動希釈装置
「MAKKY-MINI 65-D」

Makky Mini 65-D(真岐興業株式会社) 引用元:真岐興業株式会社
(https://makky.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈液をエアーポンプで供給する方式を採用。加圧タンク不要で内圧の変動による作業中断の発生なし。長時間の連続稼働でも希釈液を安定供給。
  • 離型剤(原液)の空容器を希釈液のタンク代わりにして利用する仕組み。専用タンクを必要としないため、洗浄や補充による作業中断が無い
  • 生産環境や特殊な作業条件に合わせて機能追加可能。圧送ポンプの自動復帰回路やマシンインターロック、凍結防止ヒーターなど。

公式サイトで
装置の仕様をチェック

受注生産方式
現場には
クーラント自動希釈装置
「MX-600C」

クーラント自動希釈装置(株式会社CEM) 引用元:株式会社CEM
(https://www.kcem.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈率を1.0~20.0%の範囲で精度±0.2%で管理。受注生産方式で求められる製品ごとに異なる濃度に設定できるため、個別の品質基準にも対応可
  • 使用量や濃度設定を記録する機能があるため、受注ごとの履歴管理可。品質管理の問い合わせにも対応しやすく、受注生産の信頼性が高まる。
  • 一つの装置で複数の異なる希釈率を同時に設定・供給可能(オプション機能) 。顧客のニーズや仕様に応じた対応ができる

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ロット生産方式
現場には
クーラント液管理システム
「Will-Fill AIO」

クーラント液管理・自動調整システム(WILL-FILL) 引用元:WILL-FILL
(https://will-fill.com/ja)

特徴
  • クーラント液のレベルや濃度、水圧、ポンプの速度など、12種類のパラメータを同時に測定・管理可。異なる製品ごとに別の条件が必要になるロット生産に適する。
  • クーラントの残量監視と補給機能により、異なるロットでも連続して作業が行われる。手動操作が少なく、生産の流れを途切れさせない。
  • 定期的にクーラント液の状態を整える機能を搭載。液体成分が均一に保つことができ、ロットごとの品質ばらつきを防げる

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