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切削油の劣化につながる微生物の繁殖について

水溶性切削油の劣化原因にはさまざまなものが挙げられます。例えば切り屑や他の油の混入、希釈水などが劣化の原因として考えられますが、主要なトラブルのひとつとして「微生物の繁殖」もあります。この記事では、微生物はどのように繁殖するのかといった点やその対策方法について解説していきます。切削油の劣化をできる限り防ぎたいと考えている方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。

目次

微生物の繁殖プロセスと対策について

ここでは、水溶性切削油の劣化につながるとされる微生物の繁殖についてまとめています。微生物が繁殖するプロセス、また微生物が繁殖してしまった場合の影響について解説。さらに、微生物の繁殖を抑えるための対策もまとめました。

微生物繁殖のメカニズム

まず、微生物が繁殖するメカニズムについて紹介します。

好気性細菌の繁殖

酸素を好む細菌を「好気性細菌」と呼びますが、この細菌は切削液中の潤滑油や油剤成分などを栄養源として繁殖します。また、好気性細菌は糖やタンパク質を生成する際に酸素も消費します(この状態ではまだ臭気はありません)。

通性嫌気性細菌の繁殖

さらに、酸素の有無に関わらず生育が可能な細菌である「通性嫌気性細菌」が増殖します。主に腸内細菌や乳酸菌が増殖した場合、有機酸を生成し、切削液のpHが低下して酸性に近づきます

嫌気性細菌の繁殖

続いて、酸素を嫌う「嫌気性細菌」が繁殖します。嫌気性細菌は前の段階で生成された糖やタンパク質を栄養源として増えます。この嫌気性細菌は、代謝物として硫化水素やメルカプタンなどの悪臭物質を放出します。

微生物繁殖の影響

上記のように、微生物が繁殖すると水溶性切削液から悪臭がする、色相が黒く変化するなど、「腐敗した」といわれる状態になります。そのほかにも、切削液の性能が低下する、pHの変化により金属部品の腐食リスクが増加するなどの影響も考えられます。

微生物繁殖の対策

微生物が繁殖した場合には上記のようにさまざまな影響が考えられるため、あらかじめ対策を行っていくことが重要です。具体的な対策としては、以下のものが挙げられます。

対策により切削液の寿命を延ばせる

こちらの記事では微生物が繁殖するメカニズムに加え、繁殖を防ぐための対策についてご紹介しました。微生物が繁殖してしまうと、悪臭の発生や切削液の性能低下などさまざまな影響が出てきます。

微生物の繁殖を完全に防ぐことは難しいものの、しっかりと管理・対策することで切削液の寿命を延ばしトラブルの発生を抑えられます。こちらの記事でご紹介している内容を参考に、対策を行うことが大切です。

現場の生産方式別・切削油
(クーラント)

⾃動希釈装置3選

ここでは、生産方式別に切削油(クーラント)を自動供給できる希釈装置を紹介します。自社の生産方式に合わせて適切な装置を導入し、生産性アップ・業務負担の低減・コストダウンを目指しましょう。

連続生産方式
現場には
自動希釈装置
「MAKKY-MINI 65-D」

Makky Mini 65-D(真岐興業株式会社) 引用元:真岐興業株式会社
(https://makky.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈液をエアーポンプで供給する方式を採用。加圧タンク不要で内圧の変動による作業中断の発生なし。長時間の連続稼働でも希釈液を安定供給。
  • 離型剤(原液)の空容器を希釈液のタンク代わりにして利用する仕組み。専用タンクを必要としないため、洗浄や補充による作業中断が無い
  • 生産環境や特殊な作業条件に合わせて機能追加可能。圧送ポンプの自動復帰回路やマシンインターロック、凍結防止ヒーターなど。

公式サイトで
装置の仕様をチェック

受注生産方式
現場には
クーラント自動希釈装置
「MX-600C」

クーラント自動希釈装置(株式会社CEM) 引用元:株式会社CEM
(https://www.kcem.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈率を1.0~20.0%の範囲で精度±0.2%で管理。受注生産方式で求められる製品ごとに異なる濃度に設定できるため、個別の品質基準にも対応可
  • 使用量や濃度設定を記録する機能があるため、受注ごとの履歴管理可。品質管理の問い合わせにも対応しやすく、受注生産の信頼性が高まる。
  • 一つの装置で複数の異なる希釈率を同時に設定・供給可能(オプション機能) 。顧客のニーズや仕様に応じた対応ができる

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ロット生産方式
現場には
クーラント液管理システム
「Will-Fill AIO」

クーラント液管理・自動調整システム(WILL-FILL) 引用元:WILL-FILL
(https://will-fill.com/ja)

特徴
  • クーラント液のレベルや濃度、水圧、ポンプの速度など、12種類のパラメータを同時に測定・管理可。異なる製品ごとに別の条件が必要になるロット生産に適する。
  • クーラントの残量監視と補給機能により、異なるロットでも連続して作業が行われる。手動操作が少なく、生産の流れを途切れさせない。
  • 定期的にクーラント液の状態を整える機能を搭載。液体成分が均一に保つことができ、ロットごとの品質ばらつきを防げる

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