機械部品加工・製造の⽣産性を上げる⾃動希釈装置ガイド
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切削油の倍率と濃度の違い

水溶性切削油の適切な希釈倍率を知ることは、切削作業の品質とコスト効率に大きく寄与します。この記事では、希釈倍率の正しい決定方法から、自動希釈装置の導入メリットまでを詳しく解説し、工作機械を用いる中小規模工場の生産性向上に貢献する情報を提供します。

目次

水溶性切削油の希釈倍率とは

水溶性切削油は、水を加えることでその性能を発揮します。希釈倍率とは、原液に対して水を加える量を示し、適切な倍率での希釈が、切削作業の効率と品質を左右します。

希釈倍率の決定方法

水溶性切削油の適切な使用には、正確な希釈が鍵となります。希釈を行う際には、濃度と倍率の二つの方法があります。これらを理解し適用することで、切削作業の効率と品質を適切にすることが可能です。

濃度から求める方法

濃度を基に希釈比率を求める方法は、求めたい水溶性切削油の総量と希望する濃度を用います。例えば、濃度10%で100Lの切削油を準備する場合、10Lの原液に90Lの水を加えます。この計算は、希望する総量に濃度の割合を掛けることで求められるでしょう。具体的には、100Lの10%である10Lが原液の必要量となり、残りの90Lが水の必要量です。

倍率から求める方法

倍率から希釈比率を求める方法では、希望する総量に対して、どの程度の原液を加えればよいかを計算。例えば、40倍希釈の100Lの水溶性切削油を作成する場合、総量を倍率で割ります。この例では100Lを40倍で割ると、2.5Lの原液が必要となり、残りの97.5Lを水で補います。

これらの方法により、正確な濃度で切削油を準備することができるでしょう。適切な希釈は、切削工程の効率化とコスト削減に直結するため、精度の高い計算が求められます。

水溶性切削油の濃度と
希釈倍率との違い

水溶性切削油の「濃度」と「希釈倍率」は、それぞれ異なる側面から希釈液の特性を示しています。希釈倍率は、原液がどれだけ水で薄められたか、つまり薄める行為そのものの比率です。一方、濃度は希釈された液体中に原液が占める割合をパーセンテージで表します。

例として、2リットルの原液を水で100リットルに薄めた場合を考えましょう。この時、希釈倍率は50倍(100リットル分の水に対して2リットルの原液を加えるため)、濃度は2%(100リットルの中に2リットルの原液が含まれているため)となります。これらの関係は、倍率と濃度を互いに換算する公式、倍率=100/濃度、濃度=100/倍率で数値的に表現されます。

このように、水溶性切削油の適切な希釈を行う際には、これらの違いを理解し、必要な希釈倍率や濃度を正確に計算することが重要です。

自動希釈装置の利点

自動希釈装置を導入することで、希釈プロセスの正確性が向上し、作業の効率化と品質の一貫性が保たれます。さらに、時間とコストの削減にも寄与するため、特に大量生産を行う工場にとって大きなメリットがあります。

まとめ

適切な希釈倍率による水溶性切削油の使用は、切削作業の品質とコスト効率の向上に直結します。自動希釈装置の導入は、これをさらに容易にし、生産性の大幅な向上を実現します。このように、切削油、希釈倍率の適正管理は、中小受託加工型工場が競争力を維持し、成功を収めるための鍵となるでしょう。

関連リンク

現場の生産方式別・切削油
(クーラント)

⾃動希釈装置3選

ここでは、生産方式別に切削油(クーラント)を自動供給できる希釈装置を紹介します。自社の生産方式に合わせて適切な装置を導入し、生産性アップ・業務負担の低減・コストダウンを目指しましょう。

連続生産方式
現場には
自動希釈装置
「MAKKY-MINI 65-D」

Makky Mini 65-D(真岐興業株式会社) 引用元:真岐興業株式会社
(https://makky.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈液をエアーポンプで供給する方式を採用。加圧タンク不要で内圧の変動による作業中断の発生なし。長時間の連続稼働でも希釈液を安定供給。
  • 離型剤(原液)の空容器を希釈液のタンク代わりにして利用する仕組み。専用タンクを必要としないため、洗浄や補充による作業中断が無い
  • 生産環境や特殊な作業条件に合わせて機能追加可能。圧送ポンプの自動復帰回路やマシンインターロック、凍結防止ヒーターなど。

公式サイトで
装置の仕様をチェック

受注生産方式
現場には
クーラント自動希釈装置
「MX-600C」

クーラント自動希釈装置(株式会社CEM) 引用元:株式会社CEM
(https://www.kcem.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈率を1.0~20.0%の範囲で精度±0.2%で管理。受注生産方式で求められる製品ごとに異なる濃度に設定できるため、個別の品質基準にも対応可
  • 使用量や濃度設定を記録する機能があるため、受注ごとの履歴管理可。品質管理の問い合わせにも対応しやすく、受注生産の信頼性が高まる。
  • 一つの装置で複数の異なる希釈率を同時に設定・供給可能(オプション機能) 。顧客のニーズや仕様に応じた対応ができる

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ロット生産方式
現場には
クーラント液管理システム
「Will-Fill AIO」

クーラント液管理・自動調整システム(WILL-FILL) 引用元:WILL-FILL
(https://will-fill.com/ja)

特徴
  • クーラント液のレベルや濃度、水圧、ポンプの速度など、12種類のパラメータを同時に測定・管理可。異なる製品ごとに別の条件が必要になるロット生産に適する。
  • クーラントの残量監視と補給機能により、異なるロットでも連続して作業が行われる。手動操作が少なく、生産の流れを途切れさせない。
  • 定期的にクーラント液の状態を整える機能を搭載。液体成分が均一に保つことができ、ロットごとの品質ばらつきを防げる

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