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切削油を使うなら注意したいオイルミストとは?

切削油を使う工場では、オイルミストに注意が必要です。必ず発生するオイルミストの悪影響を理解し、適切な対策を講じましょう。ここでは、オイルミストの発生原因、その影響、対策について詳しく説明します。切削油を使う際の参考にしてください。

目次

オイルミストとは?

産業現場や工場で発生する微細な液体粒子のことをオイルミストといいます。切削油が高速回転する機械部品と接触することで空中に飛び散り、微細な油の粒子として空気中に浮遊した状態です。このオイルミストは、さまざまな悪影響を引き起こします。

人体への影響

まず、人体への影響が懸念されます。微細な粒子が空気中に浮遊しているため、肺に入り込む可能性が少なくありません。呼吸器系に影響を与えるおそれがあります。長期間曝露すると、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や気管支拡張症のリスクも生じます。

皮膚への影響も無視できません。オイルミストが長時間皮膚に触れると、刺激やアレルギー反応、湿疹などの皮膚トラブルを引き起こすことがあります。また、オイルミスト特有のにおいが頭痛の原因になることもあります。健康リスクは、オイルミストの影響として最大の懸念事項です。

環境への影響

工場内の環境に対する影響としては、オイルミストが床に付着して足元が滑りやすくなるため、怪我のリスクが増えることがあげられます。オイルミストに引火して火災が起こりやすくなることも懸念のひとつです。

大気汚染も考慮しなくてはいけません。オイルミストが工場外へ流出すると、地球環境への被害まで発生してしまいます。周辺地域の空気を汚染し、悪臭の原因になります。オイルミストの粒子が雨水に混じって地面に落ちると、土壌や水質の汚染にもつながりかねません。長期的には、オイルミストの流出が地球温暖化や生態系へ悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。

機械への影響

オイルミストが機械部品に付着すると、摩耗や腐食が進行してしまいます。特に高温の部品では劣化が加速しやすいため注意が必要です。電子機器や制御盤にオイルミストが侵入するとショートや故障のリスクが高まります。機械に悪影響があると、修理にコストがかかることはもちろん、生産性も低下しかねません。

工場内の空調設備にオイルミストが侵入すると、フィルターの目詰まりを引き起こし、エネルギー効率の低下や維持管理コストの増加を招きます。

オイルミスト対策について

オイルミストの対策としては、ミストコレクタを設置する方法があります。ミストコレクタは、工場などで発生するオイルミストを吸引・除去する装置です。

オイルミストは、主に3種類あります。

最も一般的なミストコレクタがフィルター式です。複数のフィルターでオイルミストをろ過する仕組みで、初期コストが比較的安価です。構造が難しくないため管理しやすいですが、使い終わったフィルターを工業廃棄物として廃棄する必要があり、環境にはよくありません。

フィルターレス式のミストコレクタは遠心分離式ミストコレクタとも呼ばれています。フィルターがなく、遠心力でオイルミストと空気を分離して、オイルミストのみを捕集する仕組みです。フィルターを廃棄する必要がありません。ただし、1μm以下のオイルミストは吸収しにくく、1μm以下のオイルミストも吸収できる性能の装置は費用が高い傾向にあります。

電気集塵式のミストコレクタは、静電気を利用して微細な粒子を捕集する仕組みで、95%以上もの高い捕集効率が特徴です。洗って繰り返し使えますが、高価なものが多いです。メンテナンスにも費用がかかります。

切削油を使う工場ではオイルミスト対策が必須

切削油を使用する工場では、オイルミストが発生します。空気中に微細な油の粒子が浮遊してしまうため、作業員の健康や工場環境、周辺環境へ悪影響を及ぼしかねません。機械に侵入すると故障にもつながります。切削油を使用する場合は、ミストコレクタによるオイルミスト対策が必須です。ミストコレクタには、フィルター式・フィルターレス式・電気集塵式と種類があります。それぞれの特徴を考慮して、ミストコレクタを選びましょう。

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現場の生産方式別・切削油
(クーラント)

⾃動希釈装置3選

ここでは、生産方式別に切削油(クーラント)を自動供給できる希釈装置を紹介します。自社の生産方式に合わせて適切な装置を導入し、生産性アップ・業務負担の低減・コストダウンを目指しましょう。

連続生産方式
現場には
自動希釈装置
「MAKKY-MINI 65-D」

Makky Mini 65-D(真岐興業株式会社) 引用元:真岐興業株式会社
(https://makky.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈液をエアーポンプで供給する方式を採用。加圧タンク不要で内圧の変動による作業中断の発生なし。長時間の連続稼働でも希釈液を安定供給。
  • 離型剤(原液)の空容器を希釈液のタンク代わりにして利用する仕組み。専用タンクを必要としないため、洗浄や補充による作業中断が無い
  • 生産環境や特殊な作業条件に合わせて機能追加可能。圧送ポンプの自動復帰回路やマシンインターロック、凍結防止ヒーターなど。

公式サイトで
装置の仕様をチェック

受注生産方式
現場には
クーラント自動希釈装置
「MX-600C」

クーラント自動希釈装置(株式会社CEM) 引用元:株式会社CEM
(https://www.kcem.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈率を1.0~20.0%の範囲で精度±0.2%で管理。受注生産方式で求められる製品ごとに異なる濃度に設定できるため、個別の品質基準にも対応可
  • 使用量や濃度設定を記録する機能があるため、受注ごとの履歴管理可。品質管理の問い合わせにも対応しやすく、受注生産の信頼性が高まる。
  • 一つの装置で複数の異なる希釈率を同時に設定・供給可能(オプション機能) 。顧客のニーズや仕様に応じた対応ができる

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ロット生産方式
現場には
クーラント液管理システム
「Will-Fill AIO」

クーラント液管理・自動調整システム(WILL-FILL) 引用元:WILL-FILL
(https://will-fill.com/ja)

特徴
  • クーラント液のレベルや濃度、水圧、ポンプの速度など、12種類のパラメータを同時に測定・管理可。異なる製品ごとに別の条件が必要になるロット生産に適する。
  • クーラントの残量監視と補給機能により、異なるロットでも連続して作業が行われる。手動操作が少なく、生産の流れを途切れさせない。
  • 定期的にクーラント液の状態を整える機能を搭載。液体成分が均一に保つことができ、ロットごとの品質ばらつきを防げる

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