機械部品加工・製造の⽣産性を上げる⾃動希釈装置ガイド
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水溶性切削油の危険性と安全な取扱いについて

金属加工の現場に欠かせない切削油は、工具の摩耗を抑え、美しい加工面を実現するための重要な存在です。切削油には不水溶性と水溶性の2種類があり、中でも水溶性切削油は火災リスクが低く、作業現場での扱いやすさから、多くの企業で採用されています。

ただし、水溶性切削油は水分を多く含むという特性上、長期使用による腐敗やバクテリアの繁殖といった管理面での課題も存在。安全で効率的な生産環境を維持していくためには、正しい取扱いと定期的な点検が不可欠となります。

水溶性切削油とは

切削油は、金属加工時に発生する摩擦熱を抑え、工具や加工面を保護する重要な役割を果たしています。

主に「不水溶性」と「水溶性」に分類され、水溶性は水で薄めて使用するタイプ。冷却性に優れ、作業環境を清潔に保ちやすいという利点があります。また、水を多く含むため引火点がほとんどなく、火災リスクが低い点も大きな特徴です。

ただし、原液には油分や添加剤が含まれているため、希釈液とは性質が異なる点に注意が必要となります。

水溶性切削油
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水溶性切削油の消防法における位置づけ

切削油は種類によって、消防法上の取り扱いが大きく異なります。

水溶性切削油は水分を多く含み、引火点がほとんどないため「非危険物」に分類される存在です。一方、不水溶性切削油は石油系成分を多く含むことから、第4類危険物(引火性液体)として扱われるケースがあります。

この分類の違いにより、保管や取り扱いに関する法的な制限も大きく変わってきます。水溶性切削油は比較的安全性が高いものの、原液には可燃性成分を含む場合もあるため、保管環境には十分な配慮が求められます。

水溶性切削油の危険性と管理上の注意点

水溶性切削油は火災リスクが低い一方で、使用環境によっては別の危険性を伴う場合があります。主に、長期間の使用により細菌やバクテリアの繁殖。これは腐敗や悪臭、スライムの発生といったトラブルを引き起こす原因にもなります。細菌・バクテリアの繁殖を防ぐためには、液の濃度・pH・水質を定期的に確認し、タンクや配管の清掃、液の入れ替えを適切に行うことが重要です。

なお、希釈液は引火点がほとんどありませんが、原液には可燃性成分を含む場合もあります。衛生面と安全性の両面から、日常的な管理体制の維持が欠かせません。

まとめ

水溶性切削油は消防法上「非危険物」に分類され、引火点がほとんどないため火災リスクが低い性質を持っています。

ただし、使用を続けるうちに細菌の繁殖や液の劣化が進み、衛生面や加工品質に影響を及ぼす可能性がある点に注意が必要。不水溶性切削油との性質や保管条件の違いを正しく理解し、それぞれに適した管理を行うことが大切です。

安全で安定した生産環境を維持するためには、企業や現場での定期的な点検とこまめな清掃を欠かさない姿勢が求められます。

現場の生産方式別・切削油
(クーラント)

⾃動希釈装置3選

ここでは、生産方式別に切削油(クーラント)を自動供給できる希釈装置を紹介します。自社の生産方式に合わせて適切な装置を導入し、生産性アップ・業務負担の低減・コストダウンを目指しましょう。

連続生産方式
現場には
自動希釈装置
「MAKKY-MINI 65-D」

Makky Mini 65-D(真岐興業株式会社) 引用元:真岐興業株式会社
(https://makky.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈液をエアーポンプで供給する方式を採用。加圧タンク不要で内圧の変動による作業中断の発生なし。長時間の連続稼働でも希釈液を安定供給。
  • 離型剤(原液)の空容器を希釈液のタンク代わりにして利用する仕組み。専用タンクを必要としないため、洗浄や補充による作業中断が無い
  • 生産環境や特殊な作業条件に合わせて機能追加可能。圧送ポンプの自動復帰回路やマシンインターロック、凍結防止ヒーターなど。

公式サイトで
装置の仕様をチェック

受注生産方式
現場には
クーラント自動希釈装置
「MX-600C」

クーラント自動希釈装置(株式会社CEM) 引用元:株式会社CEM
(https://www.kcem.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈率を1.0~20.0%の範囲で精度±0.2%で管理。受注生産方式で求められる製品ごとに異なる濃度に設定できるため、個別の品質基準にも対応可
  • 使用量や濃度設定を記録する機能があるため、受注ごとの履歴管理可。品質管理の問い合わせにも対応しやすく、受注生産の信頼性が高まる。
  • 一つの装置で複数の異なる希釈率を同時に設定・供給可能(オプション機能) 。顧客のニーズや仕様に応じた対応ができる

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ロット生産方式
現場には
クーラント液管理システム
「Will-Fill AIO」

クーラント液管理・自動調整システム(WILL-FILL) 引用元:WILL-FILL
(https://will-fill.com/ja)

特徴
  • クーラント液のレベルや濃度、水圧、ポンプの速度など、12種類のパラメータを同時に測定・管理可。異なる製品ごとに別の条件が必要になるロット生産に適する。
  • クーラントの残量監視と補給機能により、異なるロットでも連続して作業が行われる。手動操作が少なく、生産の流れを途切れさせない。
  • 定期的にクーラント液の状態を整える機能を搭載。液体成分が均一に保つことができ、ロットごとの品質ばらつきを防げる

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