機械部品加工・製造の⽣産性を上げる⾃動希釈装置ガイド
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切削油の温度管理について

工作機械を多く持つ中小受託加工型工場にとって、切削油の温度管理は製品品質と効率向上の鍵を握ります。この記事では、切削油の温度が極圧添加剤の性能に及ぼす影響と、その管理方法、自動希釈装置の利点に焦点を当てています。

目次

切削油の温度管理の重要性

切削油の温度管理は、加工工程の効率と最終製品の品質に直接的な影響を与えます。適切な温度を維持することで、工具の摩耗を抑え、切削精度を高めることが可能となります。温度が高すぎる場合、工具の摩耗が早まり、刃の劣化を招くことがあります。これは、加工品の表面粗さに悪影響を与え、製品の再加工や廃棄が必要になる場合があり、生産コストの増加に繋がります。

また、切削油の温度が適切に管理されていれば、切削油自体の化学的性質と性能が維持され、効果的な冷却と潤滑が保証されます。これは、特に長時間にわたる連続作業や重負荷作業において、工具と加工物の熱ダメージを最小限に抑えるために重要です。

具体的には、切削油の適切な温度範囲は30℃~40℃です。この範囲を維持することで、極圧添加剤の化学的特性が適切な状態で機能し、切削面の滑らかさと精度を保つことができます。温度がこの範囲を超えると、添加剤の効果が低下し、摩耗や熱ダメージのリスクが高まります。

したがって、切削油の温度管理は、工具寿命の延長、加工精度の向上、製品品質の安定性保持、および生産コストの削減に直接寄与するため、工場運営の効率化において欠かせない要素です。

切削油の温度管理を
適切にする方法

金属加工において非常に重要となる切削油の管理ですが、常に適切な濃度や温度を保つことは簡単ではありません。自動希釈装置の導入は、切削油の管理を大幅に改善し、加工工場の運営効率を向上させることがメリットです。

自動希釈装置は切削油と水の混合比率を自動的に調整し適切な濃度と温度を維持することができます。ここでは、自動希釈装置がもたらす具体的な利点を詳細に説明します。

品質の一貫性の向上

自動希釈装置は、切削油の濃度を常に適切なレベルに保ちます。これにより、切削油の性能が発揮され、加工品質の一貫性が保たれるため、製品の不良率が減少します。

作業効率の向上

装置が切削油の混合を自動で行うため、作業者が手作業で混合比率を調整する必要がなくなります。これにより、作業者は他の生産性の高い作業に集中することができ、全体的な作業効率が向上します。

コスト削減

適切に管理された切削油は使用量が適正化され、過剰な消費を防ぎます。また、切削油の適切な利用は工具の摩耗を減らし、工具交換の頻度と関連するコストも削減します。

環境への配慮

切削油の過剰な使用や不適切な廃棄を減らすことで、環境への負担を軽減します。自動希釈装置は正確な量の切削油を使用するため、廃棄物の量が減少し、環境保護にも貢献します。

安定した操作性の維持

切削油の温度と濃度が一定であれば、機械の動作が安定し、予期せぬダウンタイムが減少します。これにより、全体的な生産性が高まり、稼働率が向上します。

自動希釈装置の導入は、これらの利点により、中小規模の加工工場でも高品質の製品を効率的に生産するための重要なステップとなります。このような技術的進歩を活用することで、競争力のある製造業務を持続可能な方法で運営することが可能になります。

まとめ

切削油の適切な温度管理は、極圧添加剤の効果を最大限に発揮させるため、及び全体的な加工品質を保つために非常に重要です。自動希釈装置を導入することで、これらの管理を効率的かつ効果的に行うことができ、結果として製品の品質向上とコスト削減が実現します。これにより、工場の競争力をさらに強化することが可能です。

関連リンク

現場の生産方式別・切削油
(クーラント)

⾃動希釈装置3選

ここでは、生産方式別に切削油(クーラント)を自動供給できる希釈装置を紹介します。自社の生産方式に合わせて適切な装置を導入し、生産性アップ・業務負担の低減・コストダウンを目指しましょう。

連続生産方式
現場には
自動希釈装置
「MAKKY-MINI 65-D」

Makky Mini 65-D(真岐興業株式会社) 引用元:真岐興業株式会社
(https://makky.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈液をエアーポンプで供給する方式を採用。加圧タンク不要で内圧の変動による作業中断の発生なし。長時間の連続稼働でも希釈液を安定供給。
  • 離型剤(原液)の空容器を希釈液のタンク代わりにして利用する仕組み。専用タンクを必要としないため、洗浄や補充による作業中断が無い
  • 生産環境や特殊な作業条件に合わせて機能追加可能。圧送ポンプの自動復帰回路やマシンインターロック、凍結防止ヒーターなど。

公式サイトで
装置の仕様をチェック

受注生産方式
現場には
クーラント自動希釈装置
「MX-600C」

クーラント自動希釈装置(株式会社CEM) 引用元:株式会社CEM
(https://www.kcem.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈率を1.0~20.0%の範囲で精度±0.2%で管理。受注生産方式で求められる製品ごとに異なる濃度に設定できるため、個別の品質基準にも対応可
  • 使用量や濃度設定を記録する機能があるため、受注ごとの履歴管理可。品質管理の問い合わせにも対応しやすく、受注生産の信頼性が高まる。
  • 一つの装置で複数の異なる希釈率を同時に設定・供給可能(オプション機能) 。顧客のニーズや仕様に応じた対応ができる

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ロット生産方式
現場には
クーラント液管理システム
「Will-Fill AIO」

クーラント液管理・自動調整システム(WILL-FILL) 引用元:WILL-FILL
(https://will-fill.com/ja)

特徴
  • クーラント液のレベルや濃度、水圧、ポンプの速度など、12種類のパラメータを同時に測定・管理可。異なる製品ごとに別の条件が必要になるロット生産に適する。
  • クーラントの残量監視と補給機能により、異なるロットでも連続して作業が行われる。手動操作が少なく、生産の流れを途切れさせない。
  • 定期的にクーラント液の状態を整える機能を搭載。液体成分が均一に保つことができ、ロットごとの品質ばらつきを防げる

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