機械部品加工・製造の⽣産性を上げる⾃動希釈装置ガイド
機械部品加工・製造の⽣産性を上げる⾃動希釈装置ガイド » 切削油の管理や使用方法のポイント » 交換基準と交換方法

交換基準と交換方法

中小規模の受託加工型工場では、切削油交換のタイミングと方法が、機械の稼働効率と維持コストに直結します。この記事では、切削油の適切な交換基準とその方法、さらには交換頻度を減らすための自動希釈装置のメリットに焦点を当てて解説します。

目次

水溶性切削油の交換基準

水溶性切削油は、その性能を最大限に活用するため、適切なタイミングでの交換が不可欠です。交換の必要性を正確に判断するための基準は、以下の具体的な指標に基づいています。

腐敗臭の発生

水溶性切削油は時間の経過と共にバクテリアやカビの増殖が起こりやすく、これが腐敗臭を発生させます。切削油から不快な臭いがするようになった場合、微生物の過剰な増殖を示しており、交換のサインです。

混入油分の増加による洗浄性能の低下

機械の潤滑油や外部からの油脂が混入することで、水溶性切削油の洗浄性能が低下します。製品表面の汚れが落ちにくくなったり、油膜が均一でなくなる現象が見られた場合は、混入油分の増加が原因かもしれません。

タンク内の研切削屑の増加

切削プロセスで発生する屑がタンク内に蓄積すると、切削油の流通が阻害され、冷却や洗浄性能が低下します。定期的な点検で屑の蓄積が確認された場合、タンクの清掃と共に切削油の交換を検討する必要があります。

油の性能低下による加工品質の劣化

切削油の性能が低下すると、加工品の表面仕上がりに影響が出ます。特に、加工精度が要求される作業では、油の性能低下が直接製品品質に影響するため、加工品の品質が基準を満たさなくなった時点で、切削油の交換が必要です。

これらの交換基準をもとに定期的な切削油の点検を行い、上記のいずれかのサインが見られた場合は、迅速に切削油の交換を行うことが、工作機械の性能維持と加工品質の向上につながります。

切削油交換時の原因確認と
交換方法

切削油交換の必要性は、以下のような兆候によって判断されます。

これらの問題を解決し、切削油の性能を回復させるためには、以下のステップに従って交換作業を行います。

  1. 原因の特定: 交換の必要性を引き起こしている具体的な問題を特定します。
  2. 交換準備: 交換日を設定し、必要最小限の液量に調整します。また、廃液回収のための容器を用意します。
  3. 交換前処置: 腐敗臭や粘着物の問題がある場合、交換前に殺菌剤を添加し、タンク内を循環させて殺菌します。
  4. 液の抜き取りと洗浄: 使用済みの切削油を抜き取り、タンク内外を洗浄します。この際、洗浄剤を用いることでより効果的に洗浄できます。
  5. 新液の添加: 洗浄後、タンクに新しい切削油を添加し、適切な濃度に希釈します。

自動希釈装置の導入メリット

自動希釈装置の導入は、切削油の管理を大幅に改善します。この装置は次のようなメリットを提供します。

まとめ

切削油の適切な交換と管理は、製造プロセスの品質と効率を保つために不可欠です。交換時の原因確認から効率的な交換方法、そして自動希釈装置の導入による管理の効率化まで、これらの措置は製造現場の生産性を効率化し、コストを削減するために重要です。

自動希釈装置の導入は、特に中小規模の受託加工型工場にとって、切削油のロングライフ化と経済性の向上の両方を実現する有効な手段と言えるでしょう。

関連リンク

現場の生産方式別・切削油
(クーラント)

⾃動希釈装置3選

ここでは、生産方式別に切削油(クーラント)を自動供給できる希釈装置を紹介します。自社の生産方式に合わせて適切な装置を導入し、生産性アップ・業務負担の低減・コストダウンを目指しましょう。

連続生産方式
現場には
自動希釈装置
「MAKKY-MINI 65-D」

Makky Mini 65-D(真岐興業株式会社) 引用元:真岐興業株式会社
(https://makky.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈液をエアーポンプで供給する方式を採用。加圧タンク不要で内圧の変動による作業中断の発生なし。長時間の連続稼働でも希釈液を安定供給。
  • 離型剤(原液)の空容器を希釈液のタンク代わりにして利用する仕組み。専用タンクを必要としないため、洗浄や補充による作業中断が無い
  • 生産環境や特殊な作業条件に合わせて機能追加可能。圧送ポンプの自動復帰回路やマシンインターロック、凍結防止ヒーターなど。

公式サイトで
装置の仕様をチェック

受注生産方式
現場には
クーラント自動希釈装置
「MX-600C」

クーラント自動希釈装置(株式会社CEM) 引用元:株式会社CEM
(https://www.kcem.co.jp/product/)

特徴
  • 希釈率を1.0~20.0%の範囲で精度±0.2%で管理。受注生産方式で求められる製品ごとに異なる濃度に設定できるため、個別の品質基準にも対応可
  • 使用量や濃度設定を記録する機能があるため、受注ごとの履歴管理可。品質管理の問い合わせにも対応しやすく、受注生産の信頼性が高まる。
  • 一つの装置で複数の異なる希釈率を同時に設定・供給可能(オプション機能) 。顧客のニーズや仕様に応じた対応ができる

公式サイトで
装置の仕様をチェック

ロット生産方式
現場には
クーラント液管理システム
「Will-Fill AIO」

クーラント液管理・自動調整システム(WILL-FILL) 引用元:WILL-FILL
(https://will-fill.com/ja)

特徴
  • クーラント液のレベルや濃度、水圧、ポンプの速度など、12種類のパラメータを同時に測定・管理可。異なる製品ごとに別の条件が必要になるロット生産に適する。
  • クーラントの残量監視と補給機能により、異なるロットでも連続して作業が行われる。手動操作が少なく、生産の流れを途切れさせない。
  • 定期的にクーラント液の状態を整える機能を搭載。液体成分が均一に保つことができ、ロットごとの品質ばらつきを防げる

公式サイトで
装置の仕様をチェック