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切削油の浮上油(他給油)について

機械加工の現場、とりわけ工作機械の運用に不可欠な切削油ですが、その過程において発生する厄介者が浮上油(他給油)になります。ここでは浮上油(他給油)が発生してしまう仕組みやもたらされる問題、対策方法などを取りまとめてご紹介しています。ぜひ、参考にしてみてください。

目次

なぜ「切削油管理」が工場の生産性を左右するのか

まずは機械加工における、「切削油管理」の重要性についておさらいしておきましょう。そもそも作動する機械というものには、動きをスムーズにするための潤滑油が不可欠です。例えばガソリン車にはエンジンオイルが必須であるのはご存知の通り。そして切削油は工作機械にとっての「血液」に喩えられる重要な存在になります。

仮に不適切な希釈や汚染された切削油を用いて金属加工を行った場合、加工精度が低下してしまったり、工作機械の刃具の寿命が早まる、さらには作業現場の環境悪化をも招いてしまいます。くれぐれも切削油管理は適切に行わなければならないことを肝に銘じておいてください。

現場を悩ませる切削油の「3大トラブル」

機械加工において重要な役割を担っており、管理もしっかり行わなければならない切削油ですが、実際の作業現場では、様々な問題が起こってしまいがちです。とりわけ発生頻度が高いトラブルには、以下のようなものがあります。

手作業による希釈のバラつきと重労働

切削油の多くは20L入りの缶で販売されており、作業現場への持ち運び自体がかなりの重労働となってしまいます。その上で水で薄めて使用しますが、希釈作業も肉体的負担が大きく体力を消耗してしまいます。加えて目分量で希釈するとどうしても誤差が生じてしまいがち。濃すぎてコスト高となってしまう場合、薄過ぎて加工不良や機械の寿命を早めてしまう場合の双方が起こり得ます。

浮上油(他給油)による腐敗と悪臭

浮上油(他給油)とは工作機械や加工品の冷却を担う切削油(クーラント)に混ざってしまう油類の総称。潤滑油や作動油、防錆油、グリースなどが代表格です。多くの場合、工作機械の作動中にそれらの油分が漏れ出し、切削油(クーラント)に混ざり、クーラントタンク内で浮遊するようになってしまいます。浮上油は量が増えると蓋の役割を果たしてしまい、液中の酸素濃度が低下。嫌気性細菌が繁殖し、悪臭の原因となってしまうのです。

刃具の摩耗加速とベタつき

切削油が劣化していたり不適切な濃度で機械加工を行うと、冷却性能や潤滑性能の低下を眞井としまいます。当然ながら可動部の部品を寿命を早めることになり、なかでも刃具の摩耗が一段と速まることになってしまいます。また加工対象のワークや機械内部にべたつきが発生しやすくなり、洗浄する工程が増えてしまうことにもなります。

以上の通り、切削油は厳格な扱いが求められますが、実際に徹底するのは困難というのが実情であり、結果として上記のようなトラブルが発生しやすくなってしまいます。それらの解決策として、次のような方策をお勧めします。

解決策その1:自動希釈装置の導入メリット

切削油のトラブルで多いのは、希釈を手作業・目分量で行うことで正しい濃度にならないという原因。そこでお勧めなのが、切削油と水を正しい割合で混ぜ適正濃度に希釈してくれる自動希釈装置の導入です。

項目

手作業(従来)

自動希釈装置

濃度精度

担当者によりバラつく

設定値で常に一定

作業時間

補充のたびに15分~30分中断

ゼロ(自動給液)

物理的負荷

重労働(腰痛のリスク)

ボタン一つ、または全自動

コスト

原液の使いすぎが発生しやすい

最適な消費量に抑制

解決策その2:浮上油回収(スキマー)で液寿命を延ばす

切削油を正しく希釈して工作機械本来の性能を発揮できる環境を整えても、浮上油がクーラントタンクに混入したままの状態では状況は改善されないばかりか、より悪化してしまう可能性もあります。浮上油回収が必要な理由は何と言っても、機械や加工品の冷却を担う切削油(クーラント)が空気に触れる面先を増やすことで細菌の繁殖を抑制し悪臭発生を防止。また本来の冷却性能を発揮できるようになり、切削油の交換頻度も少なくて済むようになります。

浮上油回収の方法としては以下の方法があります。

自動希釈×浮上油回収がもたらす理想的な環境

メリットの筆頭に挙げられるのは加工製品の品質の向上。工作機械が常に最適な状態で稼働できるようになるため寸法精度が安定します。また刃具コストを20~30%削減してくれる効果も期待できます。

また切削油の寿命を延ばすことにも繋がり、仕入れコスト抑制はもちろん、廃棄処理コストの軽減というメリットももたらしてくれます。さらには作業現場に油分が噴霧されたり悪臭が漂うといった事態も改善されるので、スタッフの定着率やモチベーション向上といった効果も期待できます。

切削油は正しく希釈、浮上油は適切に回収

以上の通り、工作機械を用いての加工作業をより効率的に行い生産性を向上させるためには、切削油は正しく希釈することと、クーラントタンク内の浮上油を適切に回収することが大きな鍵となります。ともすれば軽視してしまいがちなことですが、実は重要な意味があり、大きな効果が期待できる要素であるということを、しっかりと肝に銘じておいてください。

現場の生産方式別・切削油
(クーラント)

⾃動希釈装置3選

ここでは、生産方式別に切削油(クーラント)を自動供給できる希釈装置を紹介します。自社の生産方式に合わせて適切な装置を導入し、生産性アップ・業務負担の低減・コストダウンを目指しましょう。

連続生産方式
現場には
自動希釈装置
「MAKKY-MINI」

Makky Mini 65-D(真岐興業株式会社) 引用元:真岐興業株式会社
(https://makky.co.jp/product/)

連続生産方式が向いている業界
  • 自動車部品製造業
  • 金属部品加工業
  • アルミダイカスト・鋳造業界
特徴
  • 希釈液をエアーポンプで供給する方式を採用。加圧タンク不要で内圧の変動による作業中断の発生なし。長時間の連続稼働でも希釈液を安定供給。
  • 離型剤(原液)の空容器を希釈液のタンク代わりにして利用する仕組み。専用タンクを必要としないため、洗浄や補充による作業中断が無い
  • 生産環境や特殊な作業条件に合わせて機能追加可能。圧送ポンプの自動復帰回路やマシンインターロック、凍結防止ヒーターなど。

公式サイトで
装置の仕様をチェック

受注生産方式
現場には
クーラント自動希釈装置
「MX-600C」

クーラント自動希釈装置(株式会社CEM) 引用元:株式会社CEM
(https://www.kcem.co.jp/product/)

受注生産方式が向いている業界
  • 医療機器部品製造業
  • 航空機部品・試作部品加工業
  • 金型加工業
特徴
  • 希釈率を1.0~20.0%の範囲で精度±0.2%で管理。受注生産方式で求められる製品ごとに異なる濃度に設定できるため、個別の品質基準にも対応可
  • 使用量や濃度設定を記録する機能があるため、受注ごとの履歴管理可。品質管理の問い合わせにも対応しやすく、受注生産の信頼性が高まる。
  • 一つの装置で複数の異なる希釈率を同時に設定・供給可能(オプション機能) 。顧客のニーズや仕様に応じた対応ができる

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ロット生産方式
現場には
クーラント液管理システム
「Will-Fill AIO」

クーラント液管理・自動調整システム(WILL-FILL) 引用元:WILL-FILL
(https://will-fill.com/ja)

ロット生産方式が向いている業界
  • 精密部品加工業
  • 電子部品・通信機器部品製造業
  • 自動車部品の量産前試作ライン
特徴
  • クーラント液のレベルや濃度、水圧、ポンプの速度など、12種類のパラメータを同時に測定・管理可。異なる製品ごとに別の条件が必要になるロット生産に適する。
  • クーラントの残量監視と補給機能により、異なるロットでも連続して作業が行われる。手動操作が少なく、生産の流れを途切れさせない。
  • 定期的にクーラント液の状態を整える機能を搭載。液体成分が均一に保つことができ、ロットごとの品質ばらつきを防げる

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